町は第5期芽室町総合計画後期実施計画において、新たに「まちなか再生の推進」を掲げ、今年度中に「まちなか再生ビジョン」を策定することとしています。
「まちなか再生」の実現に向けては、新たな発想による事業展開を主眼に置きつつも、既存商店街の機能は、同様に最も重要な要素のひとつとなってくることから、以下3点について、町長の見解を伺います。
- 「まちなか再生」において、商店街の意義、機能、展望について、町長の見解を伺います。
- 既存商店街の再生の一つの手法として、店舗改修(リフォーム)及び新規出店・創業に係る費用助成制度の創設により、資源の有効活用、地域内経済循環への寄与、町民の利便性向上、空き店舗対策等様々な効果が期待できると考えますが、町長の見解を伺います。
- 「まちなか再生」においては、短期的視点ではなく、10年、20年後を見据えた視点が必要と考えます。例えば、都市計画変更も視野に入れ、老朽化した公共施設等を商店街に機能移転させたり、まちなかエリア範囲外にはなりますが土地利用の新たなゾーニングとして、公営住宅跡地の再生を官民一体で取り組むなど、現時点での新たな発想と手法について、町長の見解を伺います。
- 提出日
令和5年1月31日
- 質問者
渡辺 洋一郎 議員
ご質問にお答えします。
1点目「まちなか再生における、商店街の意義、機能、展望」についての見解であります。 本町の商工業は、基幹産業である農業を核に振興・発展してきましたが、周辺自治体への道路交通網整備及び郊外型大型店の出店、さらに近年のネット通販の普及など、新たな消費・流通経路による消費流出が進んでいます。
また、町内商店街は、経営層の高齢化や店舗の老朽化などから、駅前地区を中心として、空き店舗、空き地が点在する現状に加え、生活上の移動手段としての芽室駅利用者の減少もあって、駅前地区の商店街の持つ中心性が低下し、商店街形成にも大きな影響を与えています。 そうした現状の一方で、従来から商店街は、その立地条件から市街地中心部における賑わいづくりへの役割が求められているとともに、地域の産業構造における地域内経済循環の視点では、消費の受け皿として、他地域への所得流出を減らし、地域内消費を促す重要な役割も担っています。
さらに、商店街は、専門性を持つ「異業種」の集積地として、従来から買い物サービス提供の場として発展してきているだけではなく、地域文化の伝承や地域活動など、地域コミュニティを支える、公共的なインフラとしての役割も担ってきており、まちづくりにおいて重要な場の一つであると認識しています。
このことから、令和4年度予算から新たな事務事業として「元気な商店街づくり支援事業」を創設し、商店会及び商工会青年部が行う商店街振興のための取組の支援を始めたところであります。
商店街振興策は、いかに商店街というエリアに町民に足を向けていただけるかが重要な視点と考えておりますが、現在までの状況や今後の賑わい創出を考えるとき、商業振興策のみの視点では、まちなかに大きな人の流れを継続的に呼び込み、定着させることは難しいと考えており、買い物も含めた、多様な目的をもって、人が集い、行き交う「魅力あるまちなか」を作る「まちなか再生」に、昨年から着手しているところであります。
「まちなか再生」は、まちなかを人が集い、憩い、多様な活動を広げられる、魅力ある場としていくことで、「人の流れ」の好循環を生み出そうとするものであります。
その魅力の一つに、個店があり、それらを線で結んだ商店会、面で捉えた商店街それぞれの取組・活動もありますが、同時に、他の魅力に向かって集まってくる人を商売の対象としていく、顧客として繋げていくなど、他の魅力を商機とする取組が、個店、商店街には必要と考えております。
次に、2点目の「店舗改修及び新規出店・創業に係る費用助成制度の創設」についての見解であります。
1点目でも答弁したとおり、本町商店街の現状から、若い世代や町外客の獲得が進まず、買い物客の町外流出が見られること、集客力の衰えから「稼ぐ場」としての魅力不足や世代交代が進みにくいといった課題があると認識しております。
こうした課題の解決策を含め、現在、策定作業を進めている「まちなか再生ビジョン」で定める「まちなかエリア」における、令和5年度新規事業を検討中であり、買い物も含め多様な目的をもって、人が集い、行き交う「魅力あるまちなか」を作る「まちなか再生」につなげていく考えであります。
次に3点目「公共施設等の機能移転と公営住宅跡地再生の官民一体となった取り組み」についてであります。
本町では、平成31年3月に都市再生特別措置法に基づく「芽室町立地適正化計画」を策定し、医療・福祉・商業等の都市機能を集約することで、各種サービスの効率的な提供を図る区域として、「都市機能誘導区域」を設定し、将来にわたって持続可能な都市構造への再構築を目指しているところであります。
「都市計画変更も視野に入れ、老朽化した公共施設等を商店街に機能移転させては」とのご提案ですが、都市機能誘導区域には、現状として公共施設等(役場・消防・公民館・図書館・病院等)はまとまって立地しており、町民のみなさんが住み慣れた場所で住み続けられるための機能として整備され、歴史的にも市街地形成や各種サービスの効率的な提供に結び付いたものと捉えており、現在のところ機能移転を想定できる公共施設等は無いものと考えております。
ただし、現在進めているまちなか再生の議論の中で、今後、新たな公共施設等の必要性が出てきた場合については、都市計画の変更も視野に入れながら、持続可能な都市構造への再構築を考える必要性はあるものと捉えております。
次に「公営住宅跡地再生の官民一体での取り組みの新たな発想と手法の考え方」については、住宅施策の推進に関する基本的な方針として「芽室町住宅マスタープラン」を定めており、その中での重点的な取り組みとして、町有地を活用した新たな宅地の供給を掲げております。
「芽室町公営住宅等長寿命化計画」において移転集約の方向性から用途廃止の対象となった公営住宅団地は、移転集約先である新規借上公営住宅などへの移転が完了した住棟毎に解体を進めいく予定であります。
その後の土地利用としては、先ほどの住宅マスタープランでの重点的な取り組みのとおり、新たな宅地供給を予定しております。その手法については、これまでも民間事業者を募り、事業提案を求め、よりよいまちづくりを進めていただける事業者を評価し、官民一体とした宅地分譲を進めてきている状況であります。
今後においても、重点的取り組みとしての「宅地供給」を官民一体となった研究・実践を考え方のベースとしつつ、人口動態や宅地、生活ニーズなどの状況に合わせて、多様な跡地利用についても、検討していく考えであります。
- 答弁日
令和5年2月16日
- 答弁者
町長