公立芽室病院の元医師が盗撮目的で女子トイレに小型カメラを設置した事案が発生しました。公立芽室病院は地域に根ざした病院を目指し、改革に取り組んでいましたが、このたびの職員による不祥事により病院への信頼や期待が薄れ、町民のあいだには失望や不安が広がっています。そこで以下の点について町の見解を伺います。
- 今回の事案は女性の人権を侵害する卑劣な行為であり、町への信頼を大きく失墜させました。処分は懲戒免職と厳しいものになりましたが、停職処分ではなく懲戒免職処分とした経緯について伺います。
- 10月8日全員協議会、その後の記者発表、マスコミによる報道等にはいくつかの点で食い違いがみられますが、あらためて本件についての経過について伺います。
- 元医師は道迷惑防止条例違反容疑で逮捕されました。町は逮捕される前にすでに処分を決定していますが、なぜ迅速な処分をすべきと判断したのか、伺います。
- 病院の信頼回復にむけた取り組みについて伺います。
処分を公表した際に町長は全職員の「服務規律の確保とコンプライアンス意識の徹底を図る」として述べています。これは個人的な問題にとどまらず、組織的要因についても対策を講じる必要があるとの認識だと考えますが、具体的にどのように取り組んでいくのでしょうか。
- 提出日
令和元年10月25日
- 質問者
正村 紀美子 議員
正村紀美子議員の文書質問にお答えいたします。
1点目 公立芽室病院元医師に対する処分が停職ではなく免職となった経緯についてであります。
地方公務員法第29条第4項では、職員の懲戒の手続き及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならないと規定され、本町においては「職員の懲戒に関する手続及び効果に関する条例」を定め、芽室町懲戒審査委員会の審査を経ることとしております。
この審査結果を踏まえ、町として、国(人事院)や北海道(病院事業職員)の懲戒処分の指針、過去の裁判の判例や類似事件の処分実績、被処分者の職責や社会的影響の度合い、公立芽室病院に対する影響等を総合的に判断し、最終的に町長が当該処分を決定した経緯であります。
2点目、本件についての発覚から処分に至るまでの経過であります。
10月8日の町議会全員協議会で説明した内容が、本人の顛末報告を踏まえて町として把握している事実であり、また、実際の対応であるため、重複する部分がありますが、今件の処分事案の概要は、本年9月29日、日曜日に、公立芽室病院3階の女子トイレに小型カメラを設置した、わいせつ行為(盗撮)であります。
この後、翌10月1日、火曜日、午前8時頃に、元医師からその行為が自身のものである旨院長に申し出があり、同日9時過ぎに、町長に対し、院長と事務長から報告があったことから発覚したものであります。
これを受け、町としては、速やかに本人からの事実確認後、顛末書の提出を求め、並行して、国や道の処分基準等の確認、類似事案の判例調査等を行い、さらに、顧問弁護士との対応協議を密に重ねた結果、
一つに、10月1日に自らが非違行為を認め、院長に申告していること。
二つに、10月3日の顛末書提出にあっては、依願退職の意思を表明していること。などから、速やかに行政処分を決定することが最善との判断に至り、芽室町懲戒審査委員会を10月7日に開催し、同日、処分を決定し、翌8日に元医師に対し処分辞令を交付した経過であります。
3点目、本件について、なぜ迅速な処分をすべきと判断したのかについてであります。
2点目の回答と重複する点もありますが、町としては、10月1日に今件の顛末を確認後、速やかに本人からの事実確認をし、並行して、国や北海道の処分基準等の情報把握をし、さらに、顧問弁護士との協議を重ねて、総合的に判断した結果、できるだけ速やかに懲戒審査委員会による処分の決定を仰ぎ、行政処分を行うこととしたものであります。
4点目、病院の信頼回復に向けた取組みについてであります。
今件については、院内で発生した事案ではあるものの、個人的な資質に起因する度合いが高いものと捉えております。
処分公表時に町長が全職員に向けて発信したのは、法令がすべての原理となる身分の公務員として、職員一人ひとりが、この機に改めて関係法令等の順守を自覚し、遂行すべき責任を徹底することで、信頼される組織を再構築していこうとする意思を表したものであります。
また、「安心して来院・働く職場環境等の確保」を目指し、主に4つの組織的な対策について、すでに実施、または継続し、さらに今後早急に取組むものでもあります。
その一つは、院内職員を対象にした「心の保健室」の実施(心理士による心のケア)(10月16日実施。11月継続実施。)
二つ目に、専門業者による院内における盗聴器・盗撮機の探査確認(10月22日実施済)。
三つ目に、セキュリティ対策として、防犯カメラの設置(12月中設置予定)。
四つ目に、職員の勤怠管理システムの運用であります(11月1日運用開始)。
また、今件の処分を決定する経過を振り返る中で、本町の処分基準が交通規則違反に限定するものしか存在しないことから、今後は新たな懲戒処分の指針や効果の制定について、検討すべきであると考えているところであります。
- 答弁日
令和元年11月8日
- 答弁者
町長